ラグビーワールドカップが開催され、多くの国の代表チームが日本にやってきました。
国を背負い、人々の期待を背負った代表チームの素晴らしい戦いが繰りひろげられました。
そんな代表チームには、それぞれの事情があります。
国の情勢や歴史が詰まっています。
今回のワールドカップからみえてきた、それぞれのお国事情についてまとめてみました。
Contents
チーム事情・お国事情その①南北合同チームのアイルランド代表
アイルランド代表は、アイルランドと北アイルランドの選手との混合チームです。
>>ラグビーWカップ2019【アイルランド】チーム紹介!主要選手はイケメンで年間最優秀選手
サッカーでは、アイルランド代表と北アイルランド代表は別で予選に出場しています。
しかし、ラグビーでは、テロの激しい時代から合同チームとして代表になっています。
アイルランドでは宗教的な対立や政治的な対立から紛争が繰り返されてきました。
現在でもカトリックとプロテスタントの宗教対立は続いていて、同じ街でも壁が築かれているという情勢です。
そのため、南と北で属する国家は違ってもスポーツで力を合わせるという同じ国を背負う代表チームでも団結力の意味合いの違う代表チームとなっています。
アイルランドはベスト8に過去7度進出していながら、勝ち星なしという状況でした。
何とか決勝トーナメントで勝利したいところでしたが、今回もニュージーランドに大敗してしまいました。
しかし、今後も代表チームとしてまとまりを見せれば、優勝を目指せる時代もそう遠くないような気がします。
チーム事情・お国事情②複雑な事情をかかえた南アフリカ代表
南アフリカは、長くアパルトヘイト政策が敷かれてきました。
アパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃されたのが1994年で、それまではラグビーは紳士の白人のスポーツだと言われていました。
また、南アフリカ共和国の公用語は、世界で最も多い11言語となっています。
そんな中、今大会では、コリシ選手が南アフリカ初の黒人のキャプテンとしてチームを引っ張りました。
歴史を超えて、現在では白人と黒人の融合チームとして成功しています。
また、コリシ選手は貧しい貧困時代を子供の頃にあじわっていて、そこからのし上がる希望の星としても勇気を与えました。
小さな身体で大活躍したデクラーク選手とともに、今大会、多くの人に勇気を与えた選手と言えるのではないでしょうか。
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チーム事情・お国事情③ジョージア代表が抱えるロシアへの感情
今大会、ジョージア対ウルグアイの試合後、勝利したジョージア代表が流れた音楽に激怒するという出来事がありました。
>>ラグビーWカップ2019「ジョージア」は強い!?チーム紹介と主要選手!
ヘッドコーチは「はっきりさせたいのはジョージアはロシアではないということ」「流れたのはロシアの曲。
ジョージアの歌手が歌っていたがロシアの曲だ」と憤慨したそうです。
また、主将も「ロシアの音楽を流した人には、次は間違えないようお願いしたい」と話していました。
大会を統括するワールドラグビーが謝罪し事なきを得ましたが、ジョージアはロシアに対しては特別な感情があるので、統括団体が配慮が足りない行為だったと言えます。
ジョージアとロシアは、1991年までは解体したソヴィエト連邦を構成する(グルジア・ソビエト社会主義共和国、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国)が前身となっています。
ソ連崩壊以来、ジョージアはロシア支配からの脱却を図ってきたという歴史があります。
他国からみると似ている国にみえてしまい、こういった複雑な事情を軽視してしまう傾向があります。
ジョージア代表がジョージア代表としてワールドカップに出場する意味あいは、私達が感じている以上に意味の深いものなのかもしれません。
チーム事情・お国事情④ナミビア代表はアマチュアのチーム!?
ラグビーではナミビア代表は、歯医者や銀行員など他にも職業を持つアマチュアのチームとなっています。
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他国が殆どプロフェッショナルのチームの中、メンバーの多くはアマチュア選手となっています。
また、ナミビアの国内のラグビー環境は決して恵まれているとは言えません。
強化が進まないという現状もあります。
ナミビアは、長らく南アフリカの委任統治下にありました。
1990年に独立した国としての歴史は比較的、浅い国となります。
しかし、そんな状況でも6大会連続6回目を決め、闘志に溢れたプレーや諦めない気持ちをプレーに出しました。
ワールドカップに出場できたことが大きな経験となったのではないでしょうか。
ラグビーワールドカップ2019チーム事情・お国事情まとめ
その国の情勢や状況をみると、はたからみて同じ代表チームでも国によってそれぞれ代表の意味や価値が違ってくることがわかります。
日本代表も盛んに”One Team”「ワンチーム」という言葉を使っていました。
多国籍チームである日本代表のチームだからこそ、1つのチームになることの意味が大きかったのかもしれません。
スポーツは政治や情勢を超えたもので、あらためて素晴らしいものだと感じました。